+ たまたまインタビュー + vol.7「水野 勝仁さん」

今までは、「移動する人」をテーマにしていましたが、今年はたまたま出会った「専門家」に話を聞いてみます。でも文章は相変わらずゆるいです。人間がゆるいのでどうにもなりません。


今回は、たまたまYCAMのバンニング•メッシュ展に行った時に出会った水野 勝仁さんにインタビューしました。水野さんは、
メディアアートやネットにまつわる表現を考察しながら「インターネット・リアリティ」を探求し、「ヒトとコンピュータの共進化」という観点からのインターフェイス研究をされています。

今回の専門家:
水野 勝仁  (ミズノ マサノリ) さん:博士(情報科学)、メディア芸術祭アート部門選考委員(2016年~)、甲南女子大学講師

フィリップ(以下:P):「水野さんは、なぜメディアアートやネットの表現に注目されたのでしょうか?」
水野さん(以下:水):「大学の卒論のときに言語ではない表現を分析して,言語化したいと思っていました.そのときにICCで三上晴子さんの《存在,皮膜,分断された身体》を体験しました.この体験を分析,言語化したいと強く思ったのがメディアアートに注目し始めたきっかけとなりました.それまでも美術館にいって作品を見ていたのですが,三上さんの作品をはじめとしてICCに展示されていたメディアアートの作品は「体験」という感じが強くで,作品を記述するだけも大変というか,とても主観的な部分が入ってくるのが,今から思えば,メディアアートに強く惹かれた理由かなと思います.
ネットの表現は大学院を終えて,次の研究をどうするかと思っていたときに出会いました.大学院ではGUIのアイコンやマウスの研究をしていました.博論を書き終えたときに,GUIのなかでカーソルについては考えていないなと気づいたときに,エキソニモの《断末魔ウス》を体験して,エキソニモの作品が面白いと思い,作品についてブログに書いていたら,千房さんから返信などが来たりしていました.そうしているうちに,エキソニモがICCで「インターネットリアリティ研究会」を発足させて,そこに加わることになって,本格的にネットの表現を研究するようになりました.私はそれほどネットにどっぷりとハマっていたわけではないので,ネットとのあいだに適度な距離感が保てるかなと思ったのも研究をはじめた理由でもあります.」
P:「最初はダイレクトにメディアアートやインターネットでは無かったんですね!」

P:「メディアアートやネットを追及されることで、何か見えたことはありますか?」
水:「メディアアートやインターネットはまさに現在形で進んでいることなので,いくら追求しても先に行ってしまうという感じです.そして,私自身がそれらの速度に遅れてはじめているとも感じています.今までは,メディアアートやインターネットで起きていることができる限り同時代の言葉で記述して,あとの世代の分析のためのデータを残していこうと思っていました.ですが,今はメディアアートやネットと自分とが乖離してきているからこそ,メディアアートやインターネットの表現を普遍的な言葉で記述することができないかと考えはじめています.だから,メディアアートやネットの表現から見えてきたのは,これらは普遍的な表現だろうということです.」
P:「なるほど、テーマの1つである、「ヒトとコンピュータの共進化」には普遍的なイメージがあります。また、私は多分同世代なので、速度に遅れてというのが分かる気がします。」

P:「IAMASについて何かコメントを頂けないでしょうか?」
水:「大学院のときに受験して落ちましたが,現在でもつながりがあるので,不思議な感じをIAMASには抱いています.」
P:「なんと!IAMASは勿体ない事をしていますね。でも、今の水野さんの研究はIAMASに来ていたら、
別ものになったかもしれないと思うと、それで良かったと思いました。」

P:「メディアアートやネットという視点から、東海地方を考えると、どんな感じでしょうか?」
水:「東海地方だからこそ,メディアアートやインターネットの表現を思い存分研究できたと思います.IAMASがあるのはもちろんですが,日本映像学会中部支部は他の支部とちがって,映画や写真ではなく,メディアアートについての研究発表をしてもいい雰囲気があったので,思い存分,メディアアートやインターフェイスの発表ができてよかったです.あと,東京との距離があるので,自分のペースで研究ができるところもいいです.」
P:「なるほどー、確かに東海地方にいると、マイペースに生活が出来ますね。」

P:「現在何か興味を持たれていることはありますか?」
水:「『モノとディスプレイとの重なり』という連載をMASSAGE
Magazine(http://themassage.jp/)というネット媒体で連載していることもあって,ディスプレイを用いた作品に興味があります.」
P:「いま最新の第7回目を読ませて頂きましたが、ディスプレイ作品をつきつめた文章の面白さ+谷口さんの美しいSFみたいな画像の効果でぞわぞわしました。他の記事も読ませて頂きます。」

P:「最後に一言お願いします。」
水:「これからもメディアアートやネット上の表現について考えて,テキストをいろいろなところに残していきたいです.IAMASからも作り手やキュレーターだけでなく,書き手ももっと出てきて,いっしょにメディアアートについていっしょに考えていきたいです.」

P:「ありがとうございました!!(ヌートリアまわりの人も!)」

MASSAGE:
http://themassage.jp/

touch-touch-touch ways of world-implementing(水野さんのブログ)
http://touch-touch-touch.blogspot.jp/

甲南女子大学 水野 勝仁講師:
http://www.konan-wu.ac.jp/dept_grad/teachers/detail.php?id=206