+たまたまインタビュー+ vol.25「愛知県美術館の主任学芸員の越後谷卓司さんのお話 その1

インタビュアー:フィリップ(ワラビモチ愛好会会長、IAMASアカデミー5期生)

————————————————————————————–今回は、愛知県美術館の越後谷卓司さんです。2021年のはじめ頃にたまたまアートラボあいちに展示を観に行った時にお会いしたので、インタビューをお願いしました(インタビューは3/14に芸文センターにて)。
フィリップ(以下P):「こんにちは、越後谷さんの簡単な自己紹介をお願いします。」越後谷さん(以下E):「愛知県美術館の主任学芸員の越後谷です。元々は愛知県文化情報センターの学芸員だったんですけど、今は美術館の学芸員です。」P:「そうか、愛知芸術文化センターが変わったんですね。」E:「2014年に文化情報センターの組織が解体されたので、事業部門にいた人は劇場と美術館に移動したんですよ。」P:「あまりわかってなかったのですが、名刺が変わったのはそういう訳だったんですね」E:「文化情報センターは劇場でも美術館でもなく、まあその両方をまたがるような仕事をしていたという…。」P:「なるほどだから、実験映画とか、現代音楽とか、コンテンポラリーダンスとかマニアックなものを名古屋で観ることができていたんですね。越後谷さんはなぜ実験映画に興味を持つようになられたんでしょうか?」E:「最初にその手の作品に触れたのは中学生くらい。80年代のはじめぐらいですけど、丁度その頃にアニメーションブームがあって、『宇宙戦艦ヤマト』とか、『銀河鉄道999』とかがあったんですけど、まあそういうメジャーな劇場用アニメーションではなくて、1日くらいの小規模なサークルの集まりで、ちょっと変わったアニメーション上映しているとニュース等で聞くんです。例えばノーマン・マクラレンとかそこら辺の名前とか知るようになって、当時はなかなか実験映画を観る機会がなかったんですけど、多摩美術大学に入ったら、アニメーション研究会が新入生の歓迎で色々イベントやるんですよ。そこでマクラレンも観れて、ああこういうやつだったんだ、みたいな。」P:「へえー!中学生から興味持たれていたんですね。」E:「アニドウ、つまり、アニメーション同好会っていう、プロのアニメーターとかアニメーション研究者とか、こっちの方だと森卓也さんのような評論家だったりとか、杉本五郎さんという漫画家でフィルムコレクターの方とかが協力して、プロというか研究者とかに近い人たちが集まったグループがあって、杉本さんが若い人たちのために、と見せてくれる機会があったり、大使館からフィルム借りて上映会したりしてたんです。」P:「越後谷さんは師匠がいらっしゃいますか?」E:「何人かいるんですけど、一番最初は大学の時の先生だった萩原朔美さんという方で、萩原さんを知ったのは確かNHKの教育(現在はEテレ)で萩原さんの作品を紹介する番組があったんですよ。リンゴを1年間撮って腐っていくのを映画にするとかを紹介していて、こんなことやってて仕事になるんだと名前を覚えていて、大学受験するときに、多摩美で教えていることを知って、3,4年で指導を受けたんだけど、放任主義で学生が何かやれば反応するという感じで。」P:「その頃はご自分でも映像を作られていたんですか?」E:「そうですね、当時は作家志向だったので、先生にも叩かれていました。」P:「その頃好きだった作家さんはいらっしゃいますか?」E:「入った頃がビデオアートブームみたいな時期で。丁度大学入った年にナム・ジュン・パイクの個展があったり、ビル・ヴィオラのことも話題になっていたんだけど、1,2年の時の指導教官の海老塚耕一さんはビル・ヴィオラがあまり好きでなくてなかなか見せてくれなかったですけど1回だけ見せてくれたんです。ビル・ヴィオラが砂漠で撮った『チョットエル-ジェリド』というもので、やっぱり当時はみんなナム・ジュン・パイクよりもまず第一にビル・ヴィオラっていう。」P:「あーでも、ちょっと違いますよね、ナム・ジュン・パイクは映像よりモノが目に入ってくる感じです。」E:「その当時フィルム主流でそうではないビデオの特性を追求しなきゃダメなんじゃないか。もちろんパイクもヴィオラもビデオでしかできないことをやってるんだけども、ビル・ヴィオラの方がビデオの本質に近いというか。あとナム・ジュン・パイクだとビデオシンセサイザー使ってて、そんなの学生には触れることすらできない。だったらビル・ヴィオラみたいに撮影にこだわって作品を作るしかやりようがないのかなっていうのが現実だったんですね。」
– 次回へ続く –
Warabimochoja ワラビモ長者 愛知県美術館 主任学芸員 越後谷さんのお話 前半https://youtu.be/2swRKXfkbtw
愛知県美術館https://www-art.aac.pref.aichi.jp/
森卓也https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E5%8D%93%E4%B9%9F
杉本五郎 (漫画家) Wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E6%9C%AC%E4%BA%94%E9%83%8E_(%E6%BC%AB%E7%94%BB%E5%AE%B6)
萩原朔美https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%A9%E5%8E%9F%E6%9C%94%E7%BE%8E
海老塚耕一https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E8%80%81%E5%A1%9A%E8%80%95%E4%B8%80
スタン・ブラッケージhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B8
ジョナス・メカスhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%82%B9